質の良いアラビカ種コーヒーの生産地として世界の注目を集め始めているネパール。
コーヒーを育てるのに必要な生育条件としてたいてい挙げられるのが、①雨量 ②日照 ③気温 ④土質 の4点です。
今回は ② 日照について、マチャプチャレコーヒー生産地の特徴と取り組みについて書かせていただきます。
日本ではコーヒーノキとして観葉植物としても親しまれているコーヒー。
観葉植物としての育て方について書かれた本も数多くあります。その中で必ずと言えるほど書かれていることは、
「日光を好むが真夏の直射日光には弱い」「明るい日陰を好む」という点です。つまり、コーヒーの木には日照は必要、しかし日差しが強すぎてはいけません。この点は当然生産地でも同じです。
ネパールは月ごとの平均日射量が3.6-6.2 kWh/m2/day 。日本の東京は2.7-4.5 kWh/m2/dayですから日本の1.5倍近い日照があります。一年に約300日の日照があるため、最近では国としての太陽光発電も推し進められているほどです。
このように日照は十分に確保できます。しかし逆に、コーヒーの木に当たる強い直射日光をいかに程よく抑えられるかが重要になります。
「マチャプチャレ」生産地では主に二つの方法によって、コーヒーへの日照コントロールが行われています。
一つは自然による日照コントロール。
マチャプチャレの生産地ポカラ周辺は、北側に迫るアンナプルナ連峰との大きな高低差により気温の変化が生じ、日中に濃い霧がひんぱんに発生します。下の写真のように、日差しの強い晴れた日にはたいてい産地は雲に包まれ、太陽の光が和らぎます。
二つ目は人工的な日照コントロール。
生産者は様々な工夫をこらして日照のコントロールを図っています。
上の写真はライチの森を利用して日照コントロールしている様子。逆にライチの木が密な場所では、日照が抑えられすぎて元気のないコーヒーの木も見受けられます。
上の写真の場所では、もともとある木々が南側に来る配置でコーヒーの木を植え、日差しが強くなる時間帯にコーヒーに当たる直射日光が和らぐように工夫されています。
上の写真は、バナナの木を使った日照コントロールを試験的に始めたエリア。バナナの木は大きくなるのが早く、大きな葉がコーヒーの苗に当たる直射日光を遮ってくれています。
最近は他にもマカダミアナッツの木をシェードツリーとして共に植える試みも始まっています。
生産者は、木や実の育ち具合やコーヒーの味を確認しながら、日照を人工的にコントロールするため様々な工夫をしています。経験が蓄えられていくにつれて今後一層美味しいコーヒーが出来ていくことでしょう。
ネパール人は村の暮らしが大好きです。自分の村の自然をこよなく愛します。そこで育てられる環境に優しいサスティナブルなコーヒー。
ラトナヒマラヤンコーヒーの「マチャプチャレ」を、是非一度ご賞味ください。